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落ち葉の活用と地域連携

皆さん、こんにちは。

柳川藩主立花邸 御花の景観・自然環境を維持する上で欠かせないのが落ち葉掃きです。

規模や植生にもよりますが、御花では秋と春が落葉のシーズン。

常緑樹が季節を問わず葉を落とすことを考えると、落ち葉掃きは通年行事となるわけです。

今回は、美観や衛生環境を保つ意味でも重要な落ち葉の取り扱いについて、文化財保護・活用のみならず、地域連携の観点も交え考察してみます。


就労支援型B型施設の役割

青年会議所(JC)の後輩で障害福祉に従事するH君。

SAMURAI REBIRTHのフォロワーである彼との雑談の中で、「文化財廃材×障害福祉」によって何かしらの価値が生み出せたら良いよね、という雑談めいた議論をしています。


就労支援型B型施設は、障害や病気などの理由で一般企業への就職が困難と思われる人々に対し、就労機会を提供する施設。施設の利用者は、適切なサポートのもとで働くことができ、自己実現や社会参加の機会を得ることができます。しかし、現実としては安定した仕事の提供が難しく、経済的な自立が困難なケースが少なくありません。

適切なサポート、これには作業の指導や心理的安全性の担保、適切な労働環境の提供が含まれます。

これらのサポートを通じてはじめて、利用者は自信を持って仕事に取り組むことができ、社会の一員として日常を豊かにできるものと考えます。


文化財と就労支援型B型施設の連携

このような現状を踏まえ、文化財である柳川藩主立花邸 御花内に堆積する落ち葉を、就労支援型B型施設の利用者が掃除し、その後の処理をリサイクル会社と連携するアイデアが浮かびました。

具体的には、以下のようなフローです。


1.利用者の動員とトレーニング

  まずは施設職員、利用者の皆さんと一緒になり、庭園での落ち葉掃きの方法や注意点な

  どについて現地で確認。

  施設職員、私自身もサポートしながら、実際の作業を体験してもらいますが、特に安全

  面に配慮し、適切な作業手順を構築することが重要です。


2.トライアルの実施

  トレーニングを受けた利用者が、庭園での落ち葉掃きを実施します。

  引き続き、施設職員や関係スタッフがサポートし、作業の進捗状況や問題点を確認。ト

  ライアル期間中に得られたフィードバックをもとに、作業プロセスを改善していきま

  す。

  ※トライアルについては近日中にも開催予定。


3.リサイクル会社との連携

  掃き集められた落ち葉(フレコンバック/1㎥に入れる)は、リサイクル会社に持ち込み

  再利用プロセスへ。

  すでに園内で堆肥化のプロジェクト【畳REBIRTH】は進んでいますが、バイオマス燃

  料への転用、3Dプリンタの加工資材化などが考えられます。

  これにより、落ち葉の廃棄コストを削減、環境負荷を軽減することにもつながります。


特に強調したいのは、単なる清掃作業に終わらせるのではなく、落ち葉の行き着く先、つまりアウトプットを明確にすること。

ここでは、「文化財廃材である落ち葉が、循環の営みの中で新たな価値へ変貌する」としましょう。

同時に、リサイクル会社との連携は、持続可能なバリューチェーンを構築するためにも重要であり、就労支援型B型施設利用者が抱える課題解決においても不可欠なファクターであると考えます。

【AIによるイメージ】


実施の効果と可能性

この試みには、いくつかの効果が期待できます。

まず、文化財である柳川藩主立花邸 御花の維持管理費用の削減、美観・衛生環境を担保できるという点です。

そして、就労支援型B型施設の利用者にとっては、安定した仕事の獲得、経済的な自立、社会参加の機会を増やすことができます。

利用者が緑豊かな庭園で働くことで、達成感や自己肯定感を味わうことができ、ヒーリング効果による健康促進にもつながるでしょう。

また、自治体に対する包括的な支援の必要性、予算編成など、改善へ向けた議論活発化のきっかけにもなるのではないでしょか。

おこがましくも、三方良しのイメージです。

【AIによるイメージ】


落ち葉の価値あるアウトプットの創造

価値あるアウトプットについても考えてみたいと思います。

その活用法によっては、関わる利用者がまさに「文化財を保存活用する」当事者になるわけです。


1.3Dプリンタ用素材

  落ち葉を粉砕・加工し、3Dプリンタ用のバイオ資材にすることで、新たな製品を創

  造することが可能です。例えば、落ち葉由来の材料でつくられたエコフレンドリーな製

  品は、環境意識の高い消費者にとって魅力的な選択肢となります。


2.クラフト材料

  落ち葉を乾燥・加工し、工芸品やアート作品の材料として活用することも考えられま

  す。自然素材を活かした素材は現代社会において見逃せないため、アーティストやクラ

  フト作家に対して、創造的や作品作りの支援になるかもしれません。


3.パッケージング素材

  落ち葉をリサイクルしてつくられた紙やパルプは、エコパッケージング素材として利用

  でき、プラスチックの使用を削減する次世代のパッケージングを実現します。

  環境に配慮したパッケージングは、企業の環境責任を示す手段としても極めて重要で

  す。

【AIによるイメージ】


展望と課題

この試みを成功させるにはいくつかの課題を克服する必要があります。まず、利用者の安全確保が最優先です。文化財である柳川藩主立花邸 御花の庭園は広大で、足場が悪い箇所もちらほら。何しろ周囲が掘に囲まれており、特別な柵などはありません。

同時に、適切なトレーニング・効率的なオペレーション、サポート体制の整備も重要でしょう。


さらに、リサイクル会社との連携を強化し、安定的な再利用のプロセスを確立することが求められます。経済的メリットを見過ごすわけにはいきませんが、何より持続可能なインセンティブを示す必要があります。さらに重要なのは、私たちの活動主旨、あるべき姿に共感いただくこと。


最後に、地域社会との相互連携も欠かせません。文化財としての柳川藩主立花邸 御花の維持管理や活用、環境保全に対する理解と協力を得ることに加え、地域住民・観光客に対する文化財保存活用・環境保全の重要性を啓蒙する活動も行い、広く共感を得ることが求められます。


ソーシャルグッド

文化財の維持管理、就労支援はいずれも社会課題。

落ち葉掃きという何気ない作業を通じ、文化財の維持・環境保護を両立させるとともに、就労支援型B型施設の利用者に安定した仕事と社会参加の機会を提供することは、新たなモデルケースになるものと考えます。

その上で、落ち葉の行き着く先、再利用を通じた価値あるアウトプットの可能性を追求することもまた、ソーシャルグッドと言えるのではないでしょうか。

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