皆さん、こんにちは。
ようやく秋めいてきたこの頃・・・
金木犀の香りも相まって、センチメンタルを装いたくなるのは私だけでしょうか。
この夏を振り返ると、直接的な水害に見舞われることなく過ごすことができました。
床上浸水が目立った近隣地域はあるのですが、幸い私たちが関わっている文化財に大きな被害がおよぶことはなく、掘割の恩恵をあらためて感じたところです。
掘割が張り巡らされた地形
そもそも私たちの住む柳川市は、古くから開拓・干拓された大小規模の干拓地が魚鱗状に広がる海面干拓地帯。
標高は0~約6メートルの平坦な低地となっており、0度から3度の緩やかな傾斜が有明海に向かって広がっています。
地層は砂・粘土・礫(れき)からなる沖積層で、表土以下10数メートルには、極めて軟弱で含水比の高い有明粘土層が分布。
つまり、水の影響を受けやすい地域なのです。
出典元:柳川あめんぼセンター
一部文化財にも指定されている掘割は、土地の水はけのためにつくられたもので、どんこ舟が行き交う観光名所にもなっています。
【水郷柳河】
生活用水にもなっていた掘割は、その昔生活様式の変化によって汚濁が進み、幹線水路以外を埋め下水溝にするという計画が浮上しましたが、市職員・地域住民の尽力により掘割はその姿をとどめることになったという歴史があります。
先人による工夫が、地域を守り、観光資源にもなっている。
素晴らしい循環です。
目から鱗のプロダクト
インダストリアルデザインを目の保養にと、海外のサイトをパトロール中、面白い出会いがありました。
それはビビットなオレンジが目を惹く二人掛けのソファー。
瞬時にドーパミンが大量分泌。
デザインや品質からエルメスのそれでは?と思ったほどです。
出典元:Mother Goods
フラッシュを眺めていると、驚きの光景が。
ソファーが水面に浮かんでいるのです。
出典元:Mother Goods
しかも、手もたれの裏側には二本のパドルが格納されており、単に機能や造形美を追求したプロダクトでないことに驚かされました。
出典元:Mother Goods
オットマンには、カクテルグラスに日焼け止め。
こうなってくると、名画『太陽がいっぱい』のワンシーンを思い出さずにはいられません。
出典元:Mother Goods
「Bliss Sofa」。
Mother Goodsというアメリカのクリエイティブエージェンシーが手掛けたもののよう。
非常にウィットに富んだプロダクトが物語るのは、気候変動に対する政治と世論のギャップ、環境変化には目もくれず傍若無人に振る舞う人々への風刺でもあるようです。
気候変動という社会課題に対し、クリエイティブの力で解決しようとした好例に思えました。
なお、1セット10万ドル。
収益の一部は、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)に寄付され、気候変動の影響で避難を余儀なくされている人々のために役立てられているそうです。
ソーシャルグッド
水郷に住むひとりとして、水と上手に付き合いながらも、気候変動を自分ごととして捉え行動していかなければなりません。
そして先人の志や尽力により、私たちは活かされているということを認識しなければなりません。
防災意識の重要性が叫ばれる中、万一の備えとして、ウィットに富んだ思考を持ち合わせることもまた、ソーシャルグッドと言えるのはないでしょうか。
では。
Komentáře