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早生みかんが叶えるGX(Green Transformation)

皆さん、こんにちは。


私の叔父・立花民雄(立花家17代)がオーナーをつとめる橘香園。

そこは伯爵農園とも言われ、日本初の宮川早生みかん誕生の地でもあります。



橘香園

時間を明治維新の終わりまで巻き戻します。

柳川藩立花家14代の寛治公は、地域の農業振興のため柳川の地に農事試験場を設立。

様々な農作物を国内外から集め、地場環境に合う農作物かどうか試行錯誤を繰り返していました。

その試験場の品評会で見出されたのが早熟みかん『宮川早生』。

日本初の早生みかんです。

今や全国区となっている品種ですが、その発祥はなんと柳川だったのです。

その後、15代鑑徳公により、宮川早生温州みかん普及のため、福岡県大牟田市の山地を開墾し『橘香園』がつくられました。

戦前、1936年のことです。

そこに広がるのは、まるで石垣の要塞。

美しくも整然と石垣が段を成すその環境は、土壌の流出を防ぎ、水はけの良い機能的な役割を果たしています。


伯爵蜜柑

山の斜面を切り開いた広大な敷地。

樹齢80年の老木も数多くありますが、肥沃な土壌、太陽と海風をたっぷり受ける絶好の環境で、糖度と酸味のバランスが見事に整ったみかんに育つのです。

中でも、サイズ・カタチを選定したものを『伯爵蜜柑』と言い、多くのファンに支持されています。

減農薬栽培により、みかん本来の香りを楽しむことができる逸品は、『蜜柑絞り』という果汁100%ジュースで楽しむこともできギフトにも最適。











廃棄食材としてのみかんの皮

農作物、加工品としての商品価値はいわずもがなではありますが、その後の利用価値を探りたい・・・

付加価値が高い商品だけに、下世話なことを考えてしまいました。


みかんの皮の再利用については、いくつかの活用法が存在します。

・陳皮

・入浴剤

・ガーデニング肥料

・汚れ落とし

・ニオイ消し

・加工食材

 など


ん~ いやはや何とも画一的で面白みにかける。。


一般論からかけ離れた新機軸となる考え方はないものかとリサーチしていると、興味深い研究に辿り着きました。

東京大学生産技術研究所で持続性建設材料工学をご専門にされている酒井雄也准教授の研究です。

その研究成果とは、

廃棄食材から強度がコンクリートの4倍もの素材を得られる、というもの。


「コンクリート製造には大量の二酸化炭素を排出せざるを得ない」

この課題に対し、酒井先生はコンクリートリサイクルに着目されていました。

廃木材を粉砕した木粉をコンクリ―ト瓦礫に混ぜ、熱をかけながらプレス。研究を繰り返す中で、木粉と瓦礫の割合を調整すると木材中のリグニンが接着剤に。結果、生分解性も期待できるボタニカル・コンクリートができたんだとか。


【圧縮成形によるコンクリート瓦礫の再生例】

出典元:東京大学生産技術研究所


お茶っ葉で試したところ、香りの良い素材ができ、いっそ食べられる素材はどうかと着目したのが、野菜・果物の廃棄食材なのだそう。

さらに研究を重ね・・・キャベツやみかんの皮など、約30種の廃棄食材を乾燥・粉砕し、水を加えて熱圧縮形成。

驚いたことに、白菜は通常のコンクリートの4倍もの曲げ強度(18MPa)があることが判明しました。

※18MPa:厚さ5mmで30kgの荷重に耐えることができる


【廃棄野菜・果物からつくった素材例(キャベツ、オレンジ、タマネギ)】


【野菜の廃棄物でつくった素材は、コンクリートの約4倍の曲げ強度を持ち、厚さ5mmで30kgの荷重に耐えることができます】

出典元:東京大学生産技術研究所


ただ、このままだとフリーズドライ食品のようなものなので耐水性が課題とのことですが、このテーマを卒業研究にした学生が創業したベンチャー【fabula株式会社】では、ウレタン塗装で耐水性を高めた商品を提供しているそうです。


みかんの皮や廃棄食材をGX

橘香園で排出されるみかんの皮や廃棄食材。

これが単なる「ゴミ」ではないことを、皆さんはすでにおわかりだと思います。

fabulaではすでに、みかんの皮でつくったコースターや平皿、レモンの皮でつくったお猪口、白菜でつくったスツール、コーヒーかすと木粉を混ぜてつくったタイル、成分配合により強度を自由に変更できる素材などを提案されています。




出典元:fabula公式サイト


廃棄食材によるGXを推し進めることで、橘香園のあり方はどのようなものになるのか。

建造物や身の回りの生活用品が文字通り地産地消されることとなり、みかんの栽培・販売のみならず、それによる循環経済のサイクルが新たな価値を生むかもしれません。

早生みかんの、早生みかんによる、早生のためのサーキュラーな空間、そんな橘香園もまた、未来につながるひとつの選択肢になり得るでしょう。


ソーシャルグッド

短期的なビジネス論に捕らわれるのではなく、真に農業振興とは、持続可能な農業のあり方とはどのようなものなのか、その思想に革新的技術を掛け合わせた議論をすることもまた、ソーシャルグッドと言えるのではないでしょうか。


では。

閲覧数:76回2件のコメント

2 Comments


hideshima_k
Aug 07, 2023

こんにちは。 廃棄食材からコンクリート、それは初めて知りました!

もはや廃棄物では無く、ちゃんとした資源ですよね。 弊社もコーヒー粕の活用など相談されていたりもしていますが、本当にただ廃棄するにはもったいなさすぎる・・・今やそれらを活用できる時代になったので、ここに挑まずにはいれません!

早くウチもエネルギーを自給自足できるようにしていきます=3

ガンバロ

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健太郎 立花
健太郎 立花
Aug 08, 2023
Replying to

ありがとうございます!

なかなか驚きの研究成果ですよね。

もはやできないことはない、というレベルで革新的技術が進歩していますが、世の中の仕組みがそれに追いつていないように思います。

特に日本においては・・・

私は農夫でもなく、GX専門家でもなく、環境活動家でもありませんが、後世に「つなぐ」という担い手として、できることを愚直にやっていければと思います。

hideshima_k様の活動におかれましても、更なる機運に恵まれますよう願っています。


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