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文化財的視点から触れる地域再生

執筆者の写真: 健太郎 立花健太郎 立花

皆さん、こんにちは。

文化財と聞くと、なんだか堅苦しく専門家や歴史好きのためのもの、というイメージを持つ人がいるかもしれません。

しかし、文化財は私たちのすぐそばにあり、そこには驚きや発見がたくさん詰まっています。

例えば、地域の伝統行事や古い町並み、寺社仏閣。これらは単なる“古いもの”ではなく、今もなお地域の暮らしと深く結びついているのです。

今回はそんな文化財の新しい魅力を探る旅へとご案内します。


文化財とは

私たちSAMURAI REBIRTHが主に取り扱う文化財は庭園や歴史的建造物になるのですが、文化財はその範囲にとどまらず、民俗芸能や動植物、里山や宿場町など、かなり細かく分類されます。

ここに整理しておきましょう。

ちなみに、現在私たちが行っている畳の再生プロジェクト【畳REBIRTH】の舞台「柳川藩主立花邸 御花」は、赤枠のカテゴリーに分類されます。

地域の文化財を見直してみる

先日訪れた倉敷美観地区(岡山県)には、江戸時代の白壁の町並みが保存されており、築100年を越える古民家をリノベーションしたカフェやショップが点在しています。

いずれも木の温もりが感じられる空間で、地元産のコーヒーを味わいながら歴史を感じるひととき。

また、角館武家屋敷通り(秋田県)には、江戸時代から続く武家屋敷が保存されており、観光客向けに公開されています。

武士にまつわるイベントも多彩で当時の暮らしを身近に感じることができます。

こうした体験を通じて、文化財がただの「展示物」ではなく、現代の暮らしと密接につながる価値あるものだと再認したところです。

出典元:www.setouchi.travel


文化財を「守る」から「楽しむ」へ

文化財というと、どうしても「保存」や「保護」といった言葉が頭に浮かびがちです。

もちろん、それも大切な視点。

しかし、文化財は守るだけではなく、「楽しむ」形に変えていくことが重要なのではないかと思います。

例えば、地域の伝統行事に現代的な要素を取り入れてみるもの一つの方法です。

三重県多気郡明和町では、国史跡斎宮跡において「斎王群行絵巻」「伊勢物語図屏風」「源氏物語絵巻」「十二単」など、斎宮ゆかりの文化芸術をモチーフとしたプロジェクションマッピングを行いました。

このような事例は、伝統にイノベーションを掛け合わせることで、若い世代の関心を引く成功例として挙げられます。

何しろ、伝統文化の継承には次世代の共感と理解が不可欠なのですから、「守る」ことのみならず「楽しむ」ことがいかに重要かをおわかりいただけるかと思います。

出典元:国史跡斎宮跡 平安絵巻 プロジェクションマッピング 2024


海外の事例

国内の文化財の枠組みにとどまらず、海外の活用・再生事例に注目してみましょう。

サーキュラーエコノミー先進国のオランダでは、歴史的建造物を再利用し、新しい価値を生み出す取り組みが行われています。

ここではふたつの事例をご紹介します。


De Ceuvel(デ・クーベル)は、オランダ・アムステルダム北部の旧造船所跡地に位置するサーキュラーエコノミーの実験地区です。

かつて工業活動により土壌が汚染されていたこの場所は、「クリーンテック・プレイグラウンド」をコンセプトに再生されました。

敷地内には、廃棄予定だった14隻のハウスボートがアップサイクルされ、オフィス、コワーキングスペース、研究ラボ、イベントスペース、ホテル、カフェとして利用されています。

各施設では、建築事務所やフードテックのスタートアップ、デザイナー、ライター、フリーランスなど、多様な人々が活動し、サステナビリティの取り組みとして、アクアポニックスシステムを導入し、カフェで使用する野菜やハーブを生産。

また、植物による土壌浄化(ファイトレメディエーション)を実施し、汚染された土壌の回復を図っています。

さらに、コンポストトイレの設置や150枚以上の太陽光パネルによる年間約36,000kWhの電力生産など、環境負荷の低減にも貢献。

De Ceuvelは、訪問者にサステナブルな生活様式を体験させる場として、多くの人々が集まる場所となっています。


Blue City(ブルーシティ)は、オランダ・ロッテルダムに位置するサーキュラーエコノミーのインキュベーションセンターで、かつての温水プール「Tropicana」を再利用して設立されました。

この施設は、サーキュラーエコノミーに取り組む約30の企業や約100名の起業家が集うエコシステムを形成。

地下には「Blue City Lab」があり、資源循環に関する研究や実験が行われています。

例えば、廃プラスチックを用いた3Dプリンティングや、コーヒーかすからのマッシュルーム栽培など、多様なプロジェクトが進行中です。

施設内の改修には約90%の再利用資源が使用され、新たな素材の採掘を極力避ける方針を採っており、併設されたローウェイスト・フードバー「Aloha」では地元産の食材を活用、フードマイルの削減や廃棄物の最小化に努めています。

Blue Cityは、サーキュラーエコノミーの実践と教育の場として、地域住民や企業、研究者にとって重要な拠点となっています。


このような事例から、歴史的価値を持つ場所に新たな命を吹き込み、単に「保存するだけ」の文化財から「活用して楽しむ」文化財へと転換させることがいかに重要か、活用なくして保存なし、を痛感したところです。


SAMURAI REBIRTHの取り組み

私たちSAMURAI REBIRTHも、文化財を「守る」だけではなく「楽しむ」ための新しい仕掛けを考えています。

そのひとつが、文化財と地域資源を活用した体験型プログラムの開発です。

例えば、地域の伝統工芸品を実際に作ってみるワークショップや、歴史的建造物で行う夜間イベントなどを通じて「触れて学ぶ」「体験して楽しむ」文化財活用を目指しています。

過去に投稿していますが、文化財内に堆積した落ち葉を資源にした3Dプリンタ椅子やアート作品にはサステナブルな可能性を感じていますし、自然由来の和紙を活用したお化け提灯のイベント「#奇怪夜行」などは、柳川藩主立花邸 御花における夏の風物詩となっています。

加えて、私たちは「循環」をテーマに文化財の保護活用のプロジェクトを推進しています。地域資源を活用しつつ、サステナブルな形で文化財を次世代に引き継ぐことが私たちの使命だと考えています。


ソーシャルグッド

文化財や歴史的遺産/遺構は、保存にとどまってしまうと未来が断たれてしまいます。

いかに活用し楽しむかが継承の鍵となり、付加価値創出の源泉にもなり得る。

そんな可能性を秘めているのが文化財なのです。

そして国内のみならず、サーキュラーエコノミー先進国、オランダの事例に触れてみることもまたソーシャルグッドと言えるのではないでしょうか。

 
 
 

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