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文化財×慈善活動×フィットネス/新しいコミュニティの形

皆さん、こんにちは。

フィットネスと慈善活動を組み合わせた「GoodGym」と言うユニークな取り組みがイギリスで注目を集めているのをご存知でしょうか。

ランニングをしながら地域社会に貢献するこの活動は、健康と社会貢献を両立させる新しい形のボランティアです。

私たちもこのモデルを日本の「文化財保護」に応用し、歴史伝統を守りながらコミュニティを活性化させることができるのではないか、そんな想いを馳せ地域コミュニティの形成について考察してみました。


背景と問題提起

日本国内には多くの美しい文化財がありますが、これらを維持・管理するための資金や人手が慢性的に不足しているのが現状です。

落ち葉掃きやゴミ拾い、植物の剪定や水やりなどは日常要素が強く、かなりの労力を要します。

維持管理にかかるコストは文化財の規模や経年度合いによっても異なりますが、そもそも日本における文化予算は、海外のそれに比べ極めて低く、今後一層国レベルでの議論が必要であると認識しています。

※以下、文化庁出典のデータ参照

例えば、指定文化財ではない歴史的建造物や寺社仏閣は特に支援が不足しがち。近所に点在する寺社仏閣を支える檀家・氏子不足も追い打ちをかけている印象です。

とは言え、国や自治体に頼らずとも、共感の輪による寄付やクラファンなど、今や資金調達の手法はいくつもあるため、それはオーナーの手腕によるでしょう。

柳川藩主立花邸 御花もまた、自前の文化財(7,000坪の自然環境および建造物)の維持・管理に苦労しています。


さて、現代社会に目を移すと、健康維持のためのフィットネスが重要視され、多くの人々が運動の習慣化に勤しんでいます。

経産省によると、ヘルスケア産業の市場規模は2025年には約33兆円になると推計されています。(2020年25兆円⇒成長率32%)

これらふたつの課題・ニーズを融合させることで、文化財の保護と健康促進、そして地域社会の活性化を同時に実現できるのではないか、そんな想いに至りました。

出典元:文化庁「文化芸術関連データ集」


コンセプトと具体的な取り組み

上記の背景・課題に基づき、次のようなアイデアを検討してみました。


1.クリーンアップランニングイベント

定期的に参加者が集い、庭園や寺社仏閣の周辺をランニングしながらゴミ拾いや簡単な清掃活動を行うイベントです。

近年、話題になっているスポGIMI。「スポーツで街をキレイにする!」をコンセプトにした活動は、イメージ的に近いかもしれません。

【スポGOMI】


例えば、毎月第一土曜日の朝に「OHANAクリーンアップRUN!」を開催。

ちなみにOHANAの表記、ハワイ語で“固い絆で結ばれたお互いに助け合う存在”を意味します。

参加者は集合場所でストレッチを行った後、指定されたコースをランニングしながら清掃活動。活動終了後には、参加者同士の交流会や地元の特産品を用いた軽食を用意するなどし、地域コミュニティの醸成を図ります。


2.文化財保護に関するワークアウトセッション

文化財の保護やメンテナンスを目的としたフィットネスセッションです。

例えば、庭園の芝刈りや花壇の水やり、寺社の窓拭き、障子の張替えを行いながら、フィットネスインストラクターが適切なエクササイズを指導します。

幼児向けに手洗いの重要性を促す「手洗いソング」がいくつかあるように、文化財を清掃するためのそれがあっても良いかもしれません。


3.歴史探訪ウォーキングツアー

参加者がウォーキングを楽しみながら、ガイドが文化財や寺社仏閣の歴史やその魅力を解説するツアーです。運動と学びを同時に楽しむことができるため、老若男女楽しんでいただけそうなプログラムです。

途中、松の剪定や100畳間の雑巾がけなど、文化財に直接触れられるタスクを取り入れることで、文化財をジブンゴト化していただけるような意義深い体験を提供します。


4.子ども向けエデュフィットネスイベント

子どもたちが文化財や自然に触れながら楽しむことができるエデュケーショナルフィットネスイベントです。

例えば、庭園の生態系に触れながら、環境保全・持続可能な生活スタイルの重要性共有する時間は、NEXT世代に求められる必要不可欠なコンテンツかもしれません。

出典元:日本財団「スポGOMIワールドカップ2023」


具体的なプログラムの運用方法

これらのプログラム【what?】を成功させるには、どのような手法【how?】で行うかがより重要と考えます。


1. コミュニティーパートナーシップの構築

地元の企業や団体とパートナーシップを結び、イベントのスポンサーシップや参加者の募集を行います。

フィットネスクラブや教育機関などと連携し、開催の意義を深めるとともに、持続可能な運営体制を構築することが重要となります。


2. 広報活動

言うまでもありませんが、SNSや地域の広報誌を活用し、イベント開催の告知・参加メリットなどを訴求します。

ありがちなイベントへの相乗りを拒むものではありませんが、持続可能な文化財の保存活用という本質的な課題に興味関心のある層をいかに取り込めるかを意識する必要があります。

イベントの前・中・後、参加者の声や活動の様子を写真や動画で共有し、達成感・参加意欲を高める効果も必要ではないでしょうか。


3. ボランティアスタッフの育成

運営面の充足、共感の輪を広めるためにも、イベントを支えるボランティアの育成にも力を入れる必要があります。地域の学生やシニア世代に向けたボランティアプログラムを設け、マインドセットの浸透や継続的なサポート体制を築くこともまた重要となります。


10年後を見据えた地域コミュニティー

“イベント”とは言いつつも、私はこのような取り組みを“打ち上げ花火”にしたくはありません。地味でも良いので、信念のもとに愚直なスタンスで一歩一歩実績を積み重ねることが重要だと考えています。

このような活動はある種社会運動であるため、即効性に富む効果は期待していません。本質的改善を図る漢方治療なのです。

この考察の本質は、柳川藩主立花邸 御花や地域に息づく歴史的建造物や庭園の持続可能性のみならず、上記のような活動を通じて得られる気づきや学び、文化的豊かさの享受、そして何よりNEXT世代のシビックプライドの醸成、これらを指します。

10年後くらいに過去を振り返り、あの変わり者がしでかしたことは間違いではなかったと言ってもらえるなら本望、と竜安寺の縁側に腰かけ想いに耽りました。


ソーシャルグッド

文化財×慈善活動×フィットネス。

これまでにない掛け合わせによってどのような化学反応が起こるのか。

文化財の維持保存の本質的課題は経済面(ハード)の話がつきものではありますが、地域民一人ひとりの意識(ソフト)、国や自治体のマインドセット(ソフト)ではないかと考えています。

そのソフトを醸成させるための場と時間を創造することもまた、ソーシャルグッドと言えるのではないでしょうか。

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