皆さん、こんにちは。
文化継承に携わる端くれとしての経験を活かし、ソーシャルグッドなアイデアをビジネスのヒントにしていただく。
このようなテーマのもと、とりわけ循環経済(サーキュラーエコノミー)にもとづく付加価値創造、地域再生の可能性について情報発信しています。
そして今回は、
SAMURAI REBIRTH発の「文化財×循環経済」プロジェクトがいよいよ始動!と言うお話。
その①「文化財の現状(いま)を知る」
その②「文化財の未来(あす)を創る」
二回に分けて投稿しようと思います。
文化財としての柳川藩主立花邸 御花
※文化財:ここでは歴史的建造物、名勝、寺社仏閣などを指す。
文化財を語る上で、そのカテゴリーや特性、課題感などは様々です。一括りに語ることはできませんが、ここでは私が経営に関わっている「柳川藩主立花邸 御花」(以下:御花)に当てはめ考察します。
文化財としての機能を果たす御花は、文化財保護法のもと、その学術的文化的価値を、宿泊観光事業を主軸に、様々な商品やサービスを展開しています。
歴史的建造物としてのメイン会場である大広間(日本庭園を望む100畳間)では、伝統芸能(能狂言・居合道・華道など)を企画開催、非日常な披露宴や宴席施行、その他MICE対応など、その価値を存分に味わっていただけるよう“活用”につとめ、その本質を問う活動も積極的に行っています。
歴史的背景に裏付けられたブランド、またホンモノ志向な顧客との信頼関係は揺るぎないものがあると自負しています。
課題
一方、文化財というある種ニッチな観光要素を年間通じてマネタイズする難しさは否めず、特に顧客メリットを最大化させられるようなマーケティングは引き続きの課題でもあります。
加えて、保有する文化財の維持メンテナンス費用は当然自己負担。これは経済合理性の観点から極めてネガティブな要因となります。
(一般的には、国や県そして市などから常時経済的なサポートを受けている、という誤った認識がある/経年劣化、天災による修繕の必要がある場合にのみ「文化財修復事業」等の枠組みが適用可となる)
不文律
また、
「文化財ってなんかだか難しそう」「触れちゃいけないよね」「近づくことは許されないよね」
こんな印象が文化財にはつきまといます。
もっとも維持保存の観点からは、徹底的に“守る”環境が整えられるべきなのですが、世の中に蔓延るこれらの不文律によって、文化財がより一層“難しいもの”“遠い存在”になっているように思うのです。
文化財と人との間の見えない壁。
これらの不文律は、価値あるものに対する真の学びを停滞させ、本質的な価値を見失わせてしまう要因になるものと考えています。
本質を問う
このような背景から、御花が率先して取り組むべきは、宿泊観光事業を通した非日常体験の提供のみならず、人々が文化財の本質に触れ、考えることができる場づくりが必要なのではないかということ。
なぜ国から文化財として認められたのか? 観光要素としての文化財にどのようなボトルネックがあるのか? 維持メンテナンス費用の原資獲得に新たな手法はないか? 文化財が存在することで私たちにどのようなメリットをもたらすのか? 文化財がなければどうなるのか?
これらの問いに向き合うことは、文化財オーナーまた株式会社として果たすべき社会的責任であり、それによってはじめて文化財の意義や価値を理解することができ、歴史を紡ぐことの尊さをも知り得ることになるのではと考えています。
文化財の自分事化
私なりに考え抜き行き着いたのが【文化財の自分事化】です。
文化財の保存活用に一般の方が関わることができる仕組みのもと、文化財内で廃材となる素材を循環させ、最終アウトプットとしてMade in文化財のプロダクトを生み出す。
つまり、このプロジェクトの共感者は、文化財をつくる当事者となるのです。
このような一連の営みに、様々なバックボーンを持つ共感者、地域住民、研究者、各種専門家、自治体職員などが積極的に関わることで、文化財の本質的価値や意義、100年後のあるべき姿を考えるきっかけになるものと考えています。
また、経済的豊かさをも超越する文化的豊かさの獲得は、混迷混沌が入り交じる不確かな時代を生き抜くヒントにもなるはずです。
次回は、プロジェクトの中身を紐解いていきます。
ソーシャルグッド
いよいよSAMURAI REBIRTHのプロジェクト第一弾スタートです。
文化財の現状を知り、いかに文化財の未来をつくるか、この問いに真正面からぶつかること、そして文化財を自分事化させるという未踏の領域にチャレンジすることもまた、ソーシャルグッドと言えるのではないでしょうか。
では。
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